肺炎は、日本人の死亡原因としては、悪性新生物(悪性腫瘍)、心疾患に次いで第三位です。肺炎で亡くなるか方の約95%は、65歳以上の高齢者です。高齢者になると、発熱や咳嗽(せき)の様な典型的な症状が乏しいので、注意が必要です。「何となく元気がない」「食欲が無い」「口数が少ない」といった変化しか無いうちに、肺炎が悪化して、医療機関を受診する時には、重症化して呼吸不全を併発している場合も少なくありません。
また、高齢の方は、入院によって生活環境が変わることで認知症を発症し、筋力の低下、心肺機能の低下を引き起こす事も少なくありません。肺炎自体は、抗生剤で治療法がある疾患ですが、高齢者は基礎疾患として脳血管障害、心不全、肝疾患、腎不全、糖尿病を有することで、重症化、難治化する例も少なくありません。
肺炎感染予防としては、手洗い、うがい、マスク着用は重要です。歯磨きにより口腔内を清潔にする事、十分な睡眠、適切な栄養管理も必要です。肺炎の原因となる病原菌は、細菌、ウイルス、真菌などが考えられます。肺炎球菌は、肺炎を引き起こす病原菌の中でも、特に毒性が強い細菌です。高齢者にとって危険性の高い肺炎球菌を防ぐ方法として、「成人用肺炎球菌ワクチン」の接種があります。
現在、さいたま市におきましては、65歳より5年毎に、公費での肺炎球菌ワクチンの助成金が交付されています。当院では、肺炎球菌ワクチンの接種が可能です。交付期間がありますので、受付で気軽に声を掛けていただければ幸いです。